「共感の天才」のような男性に出会いました

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真崎です。

「共感とは?」と悩んだカウンセラー時代

「共感」という言葉があります。

私はかつて学校に行っていないお子さんや親御さん向けにカウンセリングの仕事をしていたときがあり、その研修において「相手に共感すること」がいかに大事か上司に徹底指導されてきました。

ただ、この共感というやつが非常にくせ者で。
頭で「共感が大切だからさあ私は共感をするぞ」と思えば思うほど、そちらに意識が向いて反比例的にどんどん相手に共感できなくなる皮肉な事態。その結果「真崎は共感力がなさすぎる」と研修で評価を受けてまあ落ち込みました。まじかー共感力わりとあると思ってたー。

「相手にうまく共感ができない」
そんな悩みを持つようになってから、いろいろ悶々と考え続けた結果、最終的にはこんな疑問にぶちあたりました。

「そもそも共感ってなんぞ」

そんな私の目の前に「共感の天才」が現れました。
『NANA』という有名な少女漫画に出てくる「ヤス」という男性です。

スキンヘッドでサングラス、安心感より恐怖心を煽りそうな外見で、初見の場合私ならまず相談相手には選ばないような方です。

しかし実際は、同じバンドメンバーの中では完全にお兄さん・お父さん的な存在で、メンバーも悩めばヤスに相談しようという感じ。職業も弁護士で普段から人の相談にのっており、非常に頼りになる男であることがありありと伝わってきます。

仕事で悩んでいた当時、なんとなく久々に『NANA』を家で読み返していたとろ、衝撃が走りました。

「まさかこんな身近に、こんな共感性高い奴がいたなんて…」

ヤスのどこに絶大なる共感力を感じたのか、漫画の中のシーンから私の胸キュンポイントを抜粋してお伝えします。

家出少女美里とヤス

金髪縦ロールのゴスロリ系女子の美里は、ヤスがドラムをしているバンドBLACKSTONES(通称ブラスト)の熱狂的なおっかけでした。

その彼女が、ブラストがデビュー後に所属する事務所で採用面接を受け、ブラストのマネージャーをする事になりました。ブラストメンバーも気心知れた美里がマネージャーになる事を喜びます

で、まあちょっといろいろややこしいのですが、彼女が名乗っていた「上原美里」という名前は、ブラストのボーカルであるナナを幼少期に捨てた母親が生んだ腹違いの妹の名前でした。ミステリアスな泥沼―。

その複雑な事情をいち早く知ったヤスが、美里にその事情を聴くシーンです

本物の上原美里(中学生)は、ナナが同じ母親を持つ姉だと知らず、純粋なナナの大ファン。あくまでファンとしてナナと接触する機会をもちました

その様子を見ていたニセ美里は
「ナナさんが上原美里との血の繋がりに気付いたらどうしよう」
「上原美里が自分とナナさんとの関係に気付いた上で近づいているんだったらナナさんが傷つくかもしれない」

そう思って、マネージャー権限を駆使してその事態を避けるために根回ししようと動いていました。これは彼女の思いやりに基づく行動です。そんな美里にヤスが尋ねます。

ヤス「でも、そこまでナナの事を慎重に思いやれる美里ちゃんが、なんでナナの妹の名前なんか名乗ったりしたんだ」

以下、ヤスの疑問と美里のこたえのやり取りです

美「すみません、本当に軽率だったと思います。」
ヤ「責めてるわけじゃないよ。なにか矛盾を感じるんだ。」

美「自分でも感じます。でもナナさんの妹になりすましたいような、子どもじみた願望に負けてしまって。」
ヤ「(無言)」

美「他のファンの人たちより、ナナさんの事を一番よく知っているとう優越感のようなものを内心ひけらかしてたんです。」

ヤ「…そういうことか」

美「他のメンバーの事とかも必要以上に調べる癖がついて、好奇心も満たされるし調子にのって、後をつけたりどんどんエスカレートして…」
ヤ「(無言)」

美「本当にすみません…」
ヤ「いや…

ちょっと難しく考えすぎてただけでそれなら理解できるよ。形は違っても思いやりと欲求に挟まれた矛盾は誰にでもあるもんだ」

このときの、美里ちゃんの顔がね、もう。

次の例にいきます。

孤独を抱えるおんな美雨とヤス

美雨さんはブラストと同じ事務所の女優さん。売れてなくてVシネのちょい役を中心にお仕事をしている、ちょっと幸薄そうだけどきれいな女性です。クールで大人で理性的。よくひとりで寮にこもって寂しげな表情をしているところを描写されることの多い方でした。

以前華やかなパーティに参加した時も端っこでひとりで飲んで、途中で人知れず抜けて帰ろうとしたところ、ヤスがその姿を見つけて一緒に外へ出てきました。

「一緒に帰ろうか」とヤスは言いましたが、それを断って美雨さんはひとりで寮に帰りました。

そんな下りがあってからの、後日の寮内でのコインランドリーでのやり取りです。

ヤ「どーした?こんな夜中に洗たくか?」
美「そっちこそ。しかも飲みながら」※ヤスの片手には缶ビール
ヤ「いや、なんか寝付けなくて…」

美「小銭持ってる?」
ヤ「ああ」

小銭を受け取ろうと差し出された美雨の左腕には包帯。美雨の気まずそうな顔。ヤスは美雨が自傷行為をしていることに気付きます

ヤ「美雨」
美「……(気まずそうな顔)」

ヤ「昨日はおれも一緒に帰りゃよかったな。寮にひとりきりじゃ寂しかったろ。」
美「……別に、あたしひとりでいる方が好きだし。」

ヤ「…(すごく優しげな顔で沈黙した後)実はおれもそーなんだけど。」
美「そんな感じ」

ヤ「でもナナが嫁に行っちまって隣の部屋がなんか急に静かでさ」
美「寂しいんだ」

少しの沈黙をおいて、すこし悲しげな顔で、ヤスはこう言います。

「一人でいるのと一人になっちまうのは違うよな」

このときの、美雨さんの顔がね、もう。
顔というかもう涙がね。

私もヤスのような共感力を身につけようと思いましたが

当時の職場では、「共感=相手がほしいと思っている言葉を伝えること」という風に教えていただきました。それによって相手の心を解きほぐし、自分に対して安心感や信頼感を持ってもらった上でカウンセリングを進めていくことが大切だそうです。

ヤスがね、もうバッチリ「相手がほしいと思っている言葉を伝えること」をしまくっているんですよね。そりゃ周りもヤスに相談するわーて思うしむしろ私も相談したい。

そんなヤスの姿から共感を学び仕事に活かしていこうと思った矢先に、私が病みすぎて仕事を辞めました。
あんな時こそヤスのような存在が欲しかった(遠い目)。

この記事を書いた人

真崎
真崎
フリーライターの真崎。25歳。独身。京都出身池袋在住。朝キャバ嬢。社会人生活2年で自らの「組織不適合」を悟り、所属を辞めている最中です。「京都の女性=上品で高飛車で腹黒」という関東でのイメージを払拭することが1つの使命。

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